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分譲マンション広告を分析する!   みやこ不動産鑑定所
不動産鑑定士・税理士 辻本尚子


  京都市内においては、土地バブル崩壊による地価の下落により、市街中心部の商業地域に多くの分譲マンションが建設されたことは記憶に新しいところです。その後の地価の回復により高値の花となったものの、当時の分譲価格は相当の低水準にあり、あのころ買っておけば・・・・という気がしないでもありません。

  とはいえ 2007 年 9 月 1 日から、建物の高さとデザイン及び屋外広告物の規制等を全市的に見直した「新景観政策」が実施され、現行マンションには既存不適格となったものも多く、今後のマンションの価格動向も気になるところです。

  未来がどうなるかは誰にも解りませんが、過去のデータを見直すことによって、予測をすることは出来ます。そういう訳で、京都市内の分譲マンション広告を分析してみることにしました。

 材料は、今までにためておいたダンボール 3 箱にも及ぶマンション広告チラシです。

 どうしてそんなものを大量に持っているかですって・・・?
  不動産鑑定士は不動産広告が大好きなのです。美しい写真で彩られた広告チラシの、「京都御苑徒歩 10 分!情緒ある街並みに心地よい静けさ・・・」とか「京都の山並みにいだかれた暮らし・・・」等々の美句麗文にうっとりして、ついつい棄てられずにたまったチラシが、きっと貴重な情報を与えてくれるはずです。

  分析に用いたマンション広告は京都市内中心5区(北区・左京区・上京区・中京区・下京区)の 202 サンプルとなっています。期間はおよそ 2000 年から現在までの竣工分です。

 広告チラシは主として京都市中心部を収集しており、筆者の好みにより偏向していることは否めません。とても全マンションを網羅した厳密な分析調査といえるものではありませんので、その点くれぐれもご了承下さい。

  参考として分析に用いたマンション一覧を末尾に掲載しておきます。これらの広告チラシはすべて保存していますので、興味のある方はいつでも見に来てください!

京都市内の地価動向 

 下表は毎年 1 月 1 日の価格として発表される地価公示における京都市の土地価格変動率の推移です。マイナスが下落、プラスが上昇を表します。京都市の地価は 1991 年(平成 3 年)をピークとして下落を続けていましたが、 2005 年(平成 17 年)から上昇の兆しを見せ始め、 2008 年まで毎年上昇してきています。京都市内中心部に分譲マンションが建築され始めた時期が 2000 年頃であり、地価の上昇を牽引したのが中心部のマンション分譲ということが出来ます。

 マンションの竣工年次と建築棟数のグラフです。
 2000 年から 2003 年にかけて建築棟数が飛躍的に増加しています。 2005 年に一旦減少し、地価の反転期と附合します。耐震データの偽装問題が発覚したのも 2005 年です。その頃からマンションの分譲価格は上昇しましたが、建築偽装を思うと納得したものです。

所在地
  次表は所在区別の建築棟数です。中心5区のうちでも中京区が突出しています。北区が少ないのは予想通りですが、上京区が中京区の 3 分の 1 と意外な結果です。筆者は上京区の住民なのでチラシも多いはずだと思っていたのですが、分譲マンション用地となるような、まとまった土地が少なかったのではないかと考えます。

竣工年次と所在地
  竣工年次と所在地の関係を表しています。左京区と上京区は比較的安定的です。下京区は 2002 年に竣工した物件が多く、中京区はこれに遅れて建築棟数が増加しています。

大手呉服業の相次ぐ破綻により、下京区や中京区の商業地に居住用マンションが建築されるなど、当時は驚いたものでした。その後も中京区のマンション建築は活発ですが、下京区では減少しています。地価の上昇により市内中心部ではマンションよりもホテルやオフィスとしての利用が台頭してきたようです。また中京区は壬生地区や西ノ京地区を含み下京区に比べてエリアが広いことも考慮する必要があるでしょう。

最寄駅
  次は、最寄駅別に集計したものです。なんせ広告チラシですから、距離よりイメージ重視と思われ、宣伝文句に使えそうな駅が強い傾向が伺えます。

 

1位「地下鉄御池」、2位「地下鉄四条」は納得、「今出川」が意外に検討していますが、やはり京都御所と同志社大学のアドレスバリュ−と思われます。 「出町柳」と「京阪丸太町」では特急電車が停車しないにもかかわらず「京阪丸太町」のほうが多くなっているのも鴨川ビューと京都大学効果でしょうか。

マンション1棟あたりの総戸数
  そうはいっても京都市中心部では敷地規模にも限度があります。
  そこで1棟あたりの分譲戸数を調べたところ、 26 〜 50 戸のマンションがほぼ半数を占めています。 51 〜 75 戸も約 25 %あり、 50 戸前後の規模が最多です。 10 階建てとしてワンフロア 5 戸、分譲マンションなら敷地規模で 500 uは必要というところです。



  ちなみに京都市全域とその周辺市(宇治市・長岡京市)を含めたデータでは、 76 〜 100 戸も検討しています。

大規模マンションとしては、伏見区の「 グランディール鴨川T〜V」で 451 戸、長岡京市の「グリンフォート長岡京 センターアクシスほか 4 ブロック」で 371 戸が見られます。







  最後に竣工年と専有面積の関係を見てみましょう。







  予想の通り、最近になるほど1戸あたりの専有面積は小さくなっています。

価格の高騰を販売面積を小さくすることで吸収していると考えられます。

 

とはいえ左京区・上京区はファミリータイプが主となるため、専有面積はあまり変動していません。むしろ上京区は微増を示しています。

1戸あたり専有面積は 80 u前後が中心であり、一昔前の 60 u程度のファミリータイプでは売れなくなっているものと思われます。北区はより広い専有面積が 80 uに収斂してきたようにも見えます。これら北区・左京区・上京区に 60 u以下の物件は殆ど見られません。日本の住環境も良くなってきたのだなぁと感慨にふける筆者です。

 

これに対して、中京区と下京区の専有面積は明らかに小さくなっています。

SOHOのニーズも見込めるため広さにこだわる必要がないのでしょう。

そのなかでも中京区は専有面積の分布が大きく、高級マンションからワンルームまで、多様なタイプに対応しているものと思われます。それだけ多くのニーズが見込まれる地域といえます。

 

次頁は竣工年次と分譲単価の関係です。

分譲単価は 5 区とも上昇しています。

予想通りの結果ですが、中京区と下京区では 2000 年から直近の間に、uあたり 30 万円近い上昇が見られます。

 

ああ、街なかのマンションは手の届かないところに行ってしまいました・・・・。

竣工年と分譲単価の関係



 以上、勝手気ままな分析でしたが、お付き合いくださり誠に有り難うございました。

  分譲マンションが安くなるのは歓迎ですが、京都の景気が低迷するのはごめんです。

 京都の街が今後ますます発展して、人も企業も元気あふれる「京のみやこ」にしたいものです!






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